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DVの証拠はどう集める? 離婚するときに重要となる客観証拠とは

2022年10月06日
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DVの証拠はどう集める? 離婚するときに重要となる客観証拠とは

令和3年度中に愛知県女性相談センターへ寄せられた「DV(ドメスティック・バイオレンス)」に関する相談は、1093件ありました。前年度比で227件の減少でしたが、81件の一時保護が実施されるなど、深刻なケースも少なくないのが現状です。

豊橋市役所では、電話・面接による窓口を開設して、DV被害の相談に対応しています。家庭という閉鎖的な空間で起きるさまざまな暴力は、身体だけでなく精神までをも蝕んでしまうため、早急に適切な窓口への相談と解決が推奨されます。

DV被害を解決するひとつの方策となるのが、「離婚」です。しかし、加害者となったパートナーがスムーズに離婚に応じてくれるとは限りません。むしろ「離婚なんてしない」とかたくなに拒まれてしまい、さらに深刻な状況に陥ってしまうケースも少なくないでしょう。

本コラムでは、DVを理由とした離婚について、必要となる具体的な証拠の種類や集め方をベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスの弁護士が解説します。

1、DVを理由とした離婚が可能なケース|法的な根拠とは

暴力的なパートナーから逃れるための手段として、離婚による婚姻関係の解消は極めて有効な手段です。しかし、たとえDV被害を受けている側であっても、自分から離婚をもちかけることに不安を感じる方は少なくありません。DVを理由に離婚することは、可能なのでしょうか?

  1. (1)お互いが合意すれば協議離婚できる

    日本の法制度では、お互いの合意さえあれば、離婚することが可能です。このように、話し合いによる合意で離婚が成立することを協議離婚といいます。

    つまり、DVを理由に離婚したいときには、双方で「離婚する」という意思の合意があり、離婚届に必要事項を記入して提出・受理されれば協議離婚が成立するのです。

    DVをはたらくパートナーに離婚してほしい旨を告げたときに、合意が得られそうかどうか、一度考えてみるとよいでしょう。

  2. (2)重度のDVは「婚姻生活を継続し難い重大な事由」にあたる

    離婚の合意を得られずに相手が拒否するような場合、協議離婚は成立しません。

    ただし、お互いの合意がない場合でも、民法第770条1項が定める「法律上の離婚事由」に該当する場合は、裁判所の手続きを経て離婚することができます。

    法律上の離婚事由にあたるのは、次の5つです。

    • 配偶者に不貞な行為があったとき
    • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
    • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき


    DVは、5つ目に掲げられている「婚姻を継続し難い重大な事由」に含まれると解釈されています。
    ただし、配偶者からのいかなる暴力も、かならず「婚姻を継続し難い重大な事由」であると判断されるわけではありません。「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態を言うと解されています。

    刑法の考え方に照らせば、頬に1度だけ平手打ちを受けた・服の袖を強く引っ張られた・口論のなかで興奮して突き飛ばされた、といった状況があれば、暴行罪が成立します。
    しかし、上記のような軽度の暴行があっただけだと、「これ以上は夫婦として助け合いながら生活することができない」とまではいえず、離婚を認めてもらえないことがあります。

    DVを理由に離婚するには、「法律の定めに照らしても婚姻生活を続けるのは極めて難しいだろう」と裁判所や裁判官が判断するような状況と、その裏付けとなる証拠が必要です。

2、協議離婚以外の方法で離婚するにはDVの証拠が必要

協議離婚が成立しない場合、DVを理由に離婚するためには、パートナーからのDVがあったという事実を証明するための証拠を集めなければなりません。ここからは、どのような証拠が必要になるのかを説明していきます。

  1. (1)DVの存在を証明する客観証拠が必要

    離婚理由として認められるために必要なDVの証拠は、「客観証拠」にあたるものです。DVにおける客観証拠とは、DVが存在していた事実を普遍的に示す記録や文書、データなどを指します。

    DVの実態を証拠として残さずにいた場合、相手が「DVはしていない」と否定すれば、当事者以外はどちらの話が正しいのか(実際にDVがあったのか)、事実の有無を判断することができません。
    裁判所や裁判官にDVがあると確信を得させるためには、すべての証拠は「客観証拠」へと変換していく必要があります。

  2. (2)DVの立証に欠かせないポイント

    DVの事実を立証するには、「六何(ろっか)の原則」を意識しましょう。これは、いわゆる以下のような「5W1H」のことです。

    • いつ
    • どこで
    • 誰が
    • 何を
    • なぜ
    • どうやって


    以上の6点を満たすかたちで記録することで、DVの事実がより明確になります。「とある証拠があるけれど、裁判官にDVがあったと確信を得させるのには不十分」という場合は、ほかの証拠による補強が必要です。

    また、より客観性を高めつつ具体的な証明を目指すために、DVとは無関係な状況も取りこぼすことなく記録しておくとよいでしょう。

    たとえば、日常のできごとを継続的に記した日記のなかにDVの時期や内容が記録されていれば、信用度の高い証拠として扱われる可能性が高まります。

3、DVがあった事実を立証するための具体的な証拠

パートナーからのDVの存在を立証するための証拠には、どのようなものがあるのでしょうか?身体的暴力と精神的暴力にわけて、それぞれの側面から確認していきます。

  1. (1)身体的暴力を立証する証拠

    身体的暴力があったことを示す客観証拠には、次のようなものが挙げられます。

    • 怪我を診察・治療した医師が作成した診断書
    • 負傷部位や散乱した室内を撮影した写真
    • 暴力を受けた当時の内容を記録した日記
    • ほかの家族など目撃者の証言
    など


    上記で挙げた証拠は、すべて「パートナーから身体的暴力を受けた」ことを客観的に示すものでなければいけません。

    相手から「暴力は振るっていない」「ほかの理由で怪我をしたのではないか?」といった反論を受けないために、複数の証拠をそろえて説得力を高められるように意識しましょう。

    たとえば「○月○日、自宅で夫から顔面を殴られた」というDVを受けた場合は、実際に顔面を負傷している状況を示す医師の診断書と、殴られて負傷した部位の写真がセットとなって説得力が増します。
    さらに、当時の状況を日記などに記録していたり、DVを理解できる目撃者の証言も得られたりすれば、客観的にDVの存在を立証できるでしょう。

  2. (2)精神的暴力を立証する証拠

    DVにあたるのは、殴る・蹴るといった身体的暴力に限りません。暴言や脅し、命令、無視といった精神的暴力もDVに含まれます。

    精神的暴力を立証する客観証拠としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

    • 暴言などの録音
    • 脅迫的な文言や監視を告げるメール・メッセージ
    • 執拗な電話の着信履歴
    • 日常的に精神的暴力を受けていることを記した日記
    など


    精神的暴力を立証する際も、考え方は身体的暴力のときと同じです。精神的暴力が存在することを客観的に証明する複数の証拠が互いに補強しあって、DVの立証へとつながります。

    特に精神的暴力を問題とする際は、日常的に暴言や脅しといった攻撃がおこなわれている状況を明らかにするように心がけてください。脅迫的な言葉を口にしたのが1度限りといったケースでは、DVとは認められにくくなります。

    ほかの日常生活の記録とともに精神的暴力の頻度を日記で示しながら、その都度の状況を録音したり、第三者にメールやメッセージを送ったりして状況をかたちに残すなどで補強するかたちが望ましいでしょう。

4、DVを立証する客観証拠の集め方

DVの存在を立証する客観証拠を集める際は、ここで挙げる3つのポイントに留意してください。

  1. (1)軽微な怪我でも医師の診察を受ける

    身体的暴力を受けている場合は、怪我の大小にかかわらず医師の診察を受けましょう。

    大きな怪我しか診断書を得ていない状況だと、「日常的に身体的暴力を受けていることを明らかにする」という観点からみれば不十分です。また、医師の診察を受ける際は、必ずパートナーから暴力を受けた事実を伝えてください。

    「つまずいて転んだ」「不注意で階段から落ちた」などのうそを伝えて、DVがおこなわれていることを隠したくなる気持ちは誰にでもあるでしょう。しかし、診断書にそのままの情報が記載されてしまうと、「DVによる負傷ではない」という証明になってしまいます。

    医師が作成する診断書は、身体的暴力の立証で要となる重要な客観証拠です。
    ほかの証拠の補強においても強い効力をもつので、たとえ軽微な怪我でも必ず医師の診察を受けて診断書を得る準備を進めておきましょう。

  2. (2)被害の状況を撮影する

    現代はスマートフォンの普及に伴い、写真や動画であらゆる状況を簡単に記録できるようになりました。身体の怪我や室内の散乱など、DVの存在を示す状況は携帯ですべて撮影しておきましょう。

    ただし、デジタル画像は加工もできることから、相手に「捏造ではないか」という反論を受けるおそれもあります。
    撮影の際は、次の点に注意してください。

    • 身体の怪我は、全身像・負傷部位の全体・負傷部位の接写といったかたちで、全体から詳細へと複数枚にわけて撮影する
    • 室内の散乱や家財の破壊なども、全体から詳細へと複数枚で撮影する
    • 画像のフィルター機能は使用しない
    • モザイクや黒帯などで加工しない
    • 画像を切り取らない(トリミングしない)
  3. (3)電話やメッセージなどはすべて保存する

    精神的暴力の立証において、執拗な電話の着信履歴や暴言を含むメッセージ、脅しの録音などは重要な客観証拠になります。
    着信履歴は一定数を超えると上書きされてしまうため、回数を把握できるようにスクリーンショットなどで記録しておきましょう。

    また、携帯の機種によっては、着信履歴の全体画面に日時が表示されないものもあります。「どの電話番号から、○月○日 ○時○分に着信があった」と詳しく記録する必要があるので、必ず着信履歴の詳細画面を撮影するよう心がけてください。

    メールやメッセージ、録音データなどは、誤って削除しないように保護したうえで、定期的にクラウド領域や外部媒体にもバックアップを取っておきましょう。そうすることで、「パートナーに携帯を壊されてしまい、証拠が失われた」というような万が一の事態を回避できます。

    録音の際は、相手にバレてしまうと証拠がつかみにくくなるうえに、逆上を誘ってしまいかねません。安全を考慮して、使わなくなった過去の携帯を隠して録音する、家族に頼んで録音してもらうといった対策も検討しましょう。

5、まとめ

離婚を切り出した時点でパートナーが話に応じなかったとしても、DVを理由とする離婚は法的に認められる可能性があります。身体的な暴力や精神的な暴力を問わず、あらゆる客観証拠を集めてDVの存在を立証しましょう。

DV事案のなかには、度重なる暴力で重大な怪我をしてしまった、殺人や傷害致死などの事件に発展した、といった悲惨なケースも少なくありません。もし生命の危険を感じることがあれば、直ちに警察へと通報し、保護と事件化を進めたほうが安全といえるでしょう。

実際に離婚を進めることになった際は、慰謝料請求や財産分与など、さまざまな法的な問題に直面します。
特にDVを受けている状況では、条件等の話し合いを優位に進めるのは心理的にも難しいでしょう。このようなときは、弁護士にサポートを求めましょう。

DV・離婚に関する問題でお悩みなら、ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスにご相談ください。経験豊富な弁護士が、スタッフと一丸になってトラブル解決まで全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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