節約不倫とは|配偶者や不倫相手に請求できるお金や慰謝料請求の流れ
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節約不倫とは、不倫相手に対してあまりお金を使わない不倫をいいます。不倫というと、相手に高価なプレゼントをするなどのイメージがありますが、最近ではお金を使わない節約不倫が増えてきているようです。
ただし節約不倫であっても、「不倫」であることには変わりありません。不倫をした配偶者や不倫相手に対しては慰謝料などを請求できる可能性があります。
今回は、節約不倫とは何か、配偶者や不倫相手に請求できるお金や慰謝料請求の流れについて、ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスの弁護士が解説します。


1、節約不倫とは
節約不倫とは、不倫相手に対して、できる限りお金を使わない不倫をいいます。
節約不倫には、以下のような特徴があります。
- ホテルや食事代などはすべて割り勘
- ホテル代を節約するために車内で性行為をする
- 外食をしてもファミレスやリーズナブルな居酒屋がメイン
- 誕生日やクリスマスなどのイベントがあってもプレゼントをしない
節約不倫をする男性の心情としては、不倫相手を適当に扱っているのではなく、自由になるお金が少ない、長期的に不倫関係を継続したい、浪費をすると妻にバレてしまうなどの理由から節約不倫を行っているようです。
節約不倫も肉体関係があれば「不倫」であることには変わりありませんので、不倫をした配偶者や不倫相手に対して、法的な責任を追及することができます。ただし、不倫をした配偶者が不倫相手に使ったお金を取り戻すことは基本的には難しいといえます。
2、節約不倫をしていた配偶者と不倫相手に請求できるお金
節約不倫が明らかになった場合、不倫をしていた配偶者と不倫相手に対しては、以下のようなお金を請求することができます。
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(1)不倫をした配偶者に請求できるお金
不倫をした配偶者に請求できるお金については、配偶者と離婚する場合としない場合で内容が異なってきます。以下では、離婚する場合としない場合に分けて、不倫をした配偶者に請求できるお金を説明します。
① 離婚する場合
不倫をした配偶者と離婚をする場合に請求できるお金としては、以下のものが挙げられます。・慰謝料
不倫をした配偶者に対しては、慰謝料を請求することができます。不倫慰謝料の金額は、ケース・バイ・ケースですが、50万円から300万円程度が相場になります。離婚をしたケースの方が離婚をしないケースよりも慰謝料は高額になる傾向があります。
・婚姻費用
婚姻費用とは、夫婦が別居した場合において、収入の少ない方が多い方に対して請求できる生活費をいいます。離婚を前提に別居をすることになったとしても、離婚が成立するまでは夫婦であることに変わりありませんので、収入に応じた生活費を負担しなければなりません。
婚姻費用の金額については、裁判所が公表している婚姻費用算定表を利用することが一般的です。
・養育費
子どもの親権を獲得した親は、相手に対して養育費を請求することができます。養育費は、子どものための費用ですので、親の不倫は、養育費の請求権や金額に影響することはありません。養育費の金額については、裁判所が公表している養育費算定表を利用することが一般的です。
・財産分与
財産分与とは、婚姻生活で夫婦が協力して築いた財産を離婚時に清算する制度です。財産を築いた寄与度によって決められるケースもありますが、一般的には2分の1の割合で分与することになります。適切な財産分与のためには相手の財産を把握しておくことが大切です。
・年金分割
年金分割とは、婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、将来自分の年金として受け取ることができる制度です。専業主婦や相手よりも収入が低い方は、年金分割をすることで、将来の年金を加算することができますので、離婚後の重要な財産になります。
② 離婚しない場合
配偶者と離婚をしない場合でも、不倫慰謝料を請求することができます。ただし、離婚をしない場合には、基本的には夫婦の家計は共通ですので、慰謝料を支払ってもらっても意味がないという場合には、配偶者ではなく不倫相手に対する慰謝料請求を優先するケースも多いです。 -
(2)不倫相手に請求できるお金
節約不倫が発覚した場合、不倫をした配偶者だけではなく、不倫相手に対しても慰謝料を請求することができます。だだし、慰謝料の二重取りはできません。すなわち、慰謝料の相場が200万円であった場合、すでに配偶者から200万円の慰謝料が支払われている場合には、不倫相手に対して慰謝料請求をすることはできません。
このように、配偶者と不倫相手の両方に慰謝料請求した場合であっても、全体としてもらうことができる慰謝料の上限額は、変わりませんので注意が必要です。
3、不倫が原因の慰謝料請求の流れ
節約不倫を原因として慰謝料を請求する場合には、以下のような流れで行います。
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(1)不倫の証拠を集める
不倫の慰謝料を請求するためには、慰謝料を請求する側で不倫があったことを立証していかなければなりません。十分な証拠がない状態で慰謝料請求をしても、はぐらかされるなどして支払いに応じてもらえませんので、しっかりと証拠を集めてから請求することが大切です。
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(2)慰謝料請求の金額を検討する
不倫の証拠が集まったあら、相手に対してどの程度の慰謝料を請求するかを検討します。
慰謝料の金額は、不倫期間、不貞行為の回数・頻度、婚姻期間、子どもの有無、婚姻関係の破綻の有無・程度などの要素を踏まえて総合的に判断することになりますが、一定の相場となる金額があります。
慰謝料の相場を著しくかけ離れた金額を請求しても、話し合いがまとまる見込みは低いため、相場を踏まえて慰謝料を請求することが大切です。 -
(3)相手との交渉
相手との交渉の方法は、特に決まりがあるわけではありませんので、電話、手紙、メール、LINE、直接の面談など適宜の方法により行います。
なお、不倫相手の連絡先や住所がわからないという場合には、弁護士に依頼すれば弁護士会照会や職務上請求といった方法により相手の住所を突き止めることができる場合があります。 -
(4)条件に合意すれば離婚協議書等を作成する
相手との交渉により不倫慰謝料の金額、支払方法、支払時期などの合意がまとまったときは、離婚協議書等を作成し、その中で慰謝料に関する事項を記載します。口頭での合意だけだと、後で合意内容をめぐってトラブルになることもありますので、必ず書面で作成するようにしてください。
なお、離婚条件に慰謝料だけでなく養育費、財産分与などの支払いが含まれている場合は、離婚協議書等を公正証書の形にしておくのが安心です。公正証書にすることで、相手が支払いを行ったときは、すぐに強制執行の手続きをすることができますので、滞納のリスクに備えることができます。 -
(5)合意できなければ離婚調停の申し立て
相手と合意できないときは、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。離婚調停で合意に至れば、調停成立となりますが、合意できないときは調停不成立となり、離婚訴訟で争っていくことになります。
4、不倫のトラブルを弁護士に相談するメリット
不倫のトラブルでお困りの方は、以下のようなメリットがありますので弁護士に相談するのがおすすめです。
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(1)慰謝料額の計算や手続きを任せられる
不倫慰謝料の金額には、一定の相場がありますが、知識や経験がなければ相場を踏まえた適正な金額を導くのは困難です。
弁護士であれば、夫婦の具体的な状況を踏まえて適切な慰謝料額の算定が可能です。弁護士のアドバイスを踏まえた金額で交渉を進めれば、スムーズに慰謝料の話し合いを進めることができるでしょう。 -
(2)配偶者や不倫相手との交渉を任せられる
ご自身で配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求をするのが負担に感じるときは、弁護士に交渉を任せるのがおすすめです。
弁護士は代理人として離婚の交渉や慰謝料請求を行うことができます。精神的な負担が軽減され、適正な条件で問題を解決できる可能性が高くなります。 -
(3)離婚することになっても離婚に向けたサポートを受けられる
配偶者の不倫が許せないという場合には、離婚を決意される方もいると思います。
離婚にあたっては、養育費、婚姻費用、慰謝料、財産分与、年金分割、面会交流などさまざまな事項を決めていかなければなりません。不利な条件での離婚を回避するためにも離婚問題の解決実績がある弁護士のサポートが重要です。
弁護士に依頼すれば、配偶者との交渉だけでなく、離婚調停や離婚訴訟なども一気通貫で安心して任せることができます。
5、まとめ
節約不倫とは、不倫相手にお金を使わない不倫のことです。節約不倫であっても「不倫」であることに変わりありませんので、慰謝料などの請求をすることができますが、原則として配偶者が不倫相手に使ったお金を取り戻すことは難しいといえます。
配偶者の不倫が発覚したときは、慰謝料請求を検討することになりますが、慰謝料の金額や請求方法についてアドバイスすることができますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
配偶者や不倫相手への慰謝料請求をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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