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労災は警察に相談すべき? 重大事故をごまかされそうな場合の対応

2023年02月07日
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労災は警察に相談すべき? 重大事故をごまかされそうな場合の対応

愛知労働局が公表している「労働災害発生状況(令和3年)」の統計資料によると、令和3年に発生した労災件数は7989件で、そのうち26件が死亡災害でした。

業務中の怪我については、労働基準監督署長による労災認定を受けることによって、労災保険からさまざまな補償を受けることが可能です。労災が発生した場合には、会社が労災申請のサポートをしてくれるのが一般的ですが、会社によっては労災の事実を隠そうとして、適切な手続きをとってくれないことがあります。

このような、いわゆる会社からの「労災隠し」にあった場合には、どのように対応したらよいのでしょうか。今回は、労災が発生したときに警察が関与するケースや、会社に労災による重大事故をごまかされそうになった場合の対応などについて、ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスの弁護士が解説します。

1、労災が起こったときに警察が関わる場合とは

発生した労災が重大事故だった場合は、警察が関与することがあります。まずは、労災における重大事故の定義や、警察が介入した場合の労災事故解決の流れについて、説明します。

  1. (1)労災における重大事故とは

    労災の重大事故とは、一度に3人以上の労働者が業務上の死傷、または病気に罹患した災害のことです。

    重大事故が発生する業種には建設業や製造業が多く、事故類型としては、墜落・転落、交通事故、はさまれ・巻き込まれなどが多く挙げられます。

    このような重大事故は、悲しいことに毎年一定数発生しており、減少傾向が見られません。

  2. (2)警察が介入した場合の労災事故解決の流れ

    労災における重大事故が発生した場合には、死傷者も複数いることから、労災事故の処理にあたって警察も関わってくることになります。

    警察が関与する労災事故の解決の流れとしては、以下のとおりです。

    ① 被災労働者を病院に搬送
    重大事故が発生した場合には、複数の死傷者が生じているため、まずは、被災労働者を救護して病院に搬送します。重傷者がいるケースは初動が重要となりますので、応急手当や救急車の手配などを迅速に進めていくことが必要です。

    ② 警察署への連絡
    複数の死傷者が発生した場合には、警察へ連絡をしなければなりません。警察官が到着したら、警察官の指示に従って現場の保存や危険物の撤去などを行います。

    ③ 労働基準監督署への連絡
    重大事故が発生した場合には、直ちに労働基準監督署に連絡することも必要です。
    通常の労災であれば、労災発生後に遅滞なく報告をすることが義務付けられていますが、重大事故の労災では、現場検証の立ち会いや事情聴取への対応が必要になるため、迅速に連絡することが求められます。

    ④ 現場検証や事情聴取への対応
    災害状況・事実関係の把握と原因調査のために、警察および労働基準監督署による現場検証や事情聴取が行われます。労働基準監督署は、会社に労働安全衛生法違反がないかどうかを調査し、警察は、業務上過失致死傷罪に該当するかどうかを調査します。

    事業主だけではなく、一緒に働いていた労働者に対しても対応が求められますので、できる限り協力をするようにしましょう。

    ⑤ 病院での治療
    重大事故の被害にあった労働者は、病院で怪我の治療を行います。
    その際には、労災保険指定医療機関を受診するのがおすすめです。労災保険指定医療機関では、労災保険から病院に直接治療費が支払われることになるため、被災労働者が窓口で治療費を負担する必要はありません。

    他方、労災保険指定医療機関以外の病院では、いったん被災労働者が窓口で治療費を支払い、後日労災保険から立て替えて支払った分が支給されます。
    労災による治療は健康保険が使えないため、一時的にでも全額自己負担となれば、被災労働者の負担は大きくなるといえるでしょう。そのため、労災保険指定医療機関を受診することがおすすめです。

    ⑥ 労災申請
    業務中の怪我が発生した際、労働基準監督署に労災申請をして、労災認定を受けることができれば、労災保険からさまざまな補償が支払われます。

    重大事故のケースでは、被災労働者では労災申請が難しい場合もありますので、一般的には会社が代わって労災申請を行ってくれます。そのため、被災労働者またはそのご家族は、会社の担当者に相談をして、労災申請を進めてもらうとよいでしょう。

2、会社が警察に通報しない場合の対処法

重大事故が発生したにもかかわらず、会社が警察に通報しない場合もあります。ここからは、そのようなときに必要となる対応について、解説します。

  1. (1)会社に通報を促す

    労災が発生した場合、事業主には、労働基準監督署に「労働者死傷病報告書」や「事故報告書」などを提出し、労災事故の報告をすることが義務付けられています。

    もしこれらの報告を怠ったり、虚偽の報告を行ったりすれば、「労災隠し」として、会社側は厳しい処分を受けることがあります

    会社が警察に通報をしないようなことがあれば、上記のようなデメリットがあることを伝えて、しっかりと警察に通報するように促してみましょう。

  2. (2)労働者が警察に通報をする

    警察への通報は、事業主にしかできないわけではありません。
    被災労働者や周りの同僚などであっても、警察に通報することが可能です。そのため、会社に通報を促したとしても、聞く耳を持たずに対応してくれないという場合には、労働者側から警察に通報をするようにしましょう。

    労災事故の発生から通報までに時間がたってしまうと、事実関係の把握が困難になるため、できる限り早い段階で警察に連絡をすることが大切です。

3、会社に対して損害賠償を請求するには

労災による損害賠償請求を会社に対して行いたいときは、どうしたらよいのでしょうか。以下では、損害賠償請求を行うことができるケースや流れなどを解説していきます。

  1. (1)労災保険からの補償では不十分

    労働基準監督署に労災申請をして労災認定を受けることができれば、労災保険からさまざまな補償を受けることが可能です。

    しかし、労災保険給付に慰謝料の支払いは含まれておらず、障害が残ってしまった場合の逸失利益(労災がなければ本来得られていたと考えられる利益)の補償も、決して十分なものとはいえません

    このように、労災保険から補償を受けていたとしても、損害の回復として不十分な部分については、会社に対して損害賠償請求が可能なケースがあります。

  2. (2)会社に損害賠償請求できるケース

    労働基準監督署から労災認定を受けていたとしても、それだけで会社に対して損害賠償請求ができるわけではありません。

    会社に損害賠償請求できるケースとしては、以下の2つが挙げられます。

    ① 安全配慮義務違反があるケース
    会社には、労働契約上の義務として、労働者の生命または身体が危険にさらされないように保護すべき義務が課されています。このような義務を「安全配慮義務」といいます。

    たとえば、高所作業中に安全柵を設置していなかったために転落事故が生じた場合や、夏場に高温となる室内で作業を続けさせた結果熱中症になった場合など、会社側に安全配慮義務違反があるケースでは、損害賠償請求が可能です。

    ② 使用者責任を問うことができるケース
    使用者責任とは、労働者の不法行為によって第三者に損害が生じた場合に、会社も損害賠償をしなければならない責任のことをいいます(民法715条)。

    たとえば、同僚が不注意で機械の操作を誤ったことで事故に巻き込まれてしまった場合や、上司からのパワハラによって怪我をしたような場合には、使用者責任に基づいて会社に損害賠償請求を行うことが可能です。
  3. (3)会社に損害賠償請求をする流れ

    上記で説明した2つのケースに当てはまるときは、会社に対する損害賠償請求を検討しましょう。実際に、会社に損害賠償請求を行う場合は、以下のような流れで行います。

    ① 証拠収集
    会社に対して損害賠償請求をするためには、労働者の側で、会社に安全配慮義務違反や使用者責任があることを立証していかなければなりません。
    そのためには、会社の責任を裏付ける証拠が必要です。そこで、会社に対して損害賠償請求する前提として、必要な証拠収集を行います。

    ② 会社との交渉
    会社の責任を立証するだけの十分な証拠がそろったら、会社に対して、損害賠償請求をしていきます。
    損害賠償請求は口頭でもできますが、損害賠償請求の内容が記載された書面を作成し、内容証明郵便で送付することが一般的です。

    その後は、書面のやり取りや話し合いなどで交渉を進めていき、合意が成立した場合には、合意書を作成して終了となります。

    ③ 裁判
    会社との合意が成立しない場合には、最終的に裁判を起こして決着を付けます。
    裁判は、非常に複雑かつ専門的な手続きであるため、弁護士のサポートを受けながら進めていくようにしましょう。

4、労災を弁護士に相談する2つのメリット

労災でお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)会社との交渉を任せることができる

    会社に対して損害賠償請求をする際には、会社との交渉が必要です。
    しかし、労働者個人と会社では、交渉力に圧倒的な差がありますので、労働者個人では会社と対等な立場で交渉を進めていくのが困難といえるでしょう。

    弁護士であれば、被災労働者が受けた被害の回復をするために、会社と対応な立場で交渉を進めることが可能です。
    ひとりで対応することが不安だという方は、まずは弁護士にご相談ください。

  2. (2)裁判になった場合も対応してもらえる

    重大事故が発生した場合には、損害額も高額になりますので、会社との交渉では解決できず、裁判にまで発展することがあります。そのとき、労働者個人では、専門的な裁判手続きを適切に進めることができず、勝てるはずの裁判に負けてしまうリスクもあるでしょう。

    このような専門的な裁判手続きは、専門家である弁護士にお任せください。
    弁護士が証拠に基づいて適切に主張立証を行うことで、裁判所に労働者側の言い分を理解してもらうことが可能です。

5、まとめ

労災で重大事故が発生した場合には、警察も関与したうえで、実況見分などの捜査が行われます。

このような重大事故では、労働者側の被害も甚大なものであることが多いため、労災保険だけでは不足する部分については、会社に対して損害賠償請求をすることが必要です。

労災事故により、損害賠償請求をお考えの方は、弁護士のサポートが不可欠となるため、一度ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスまでご相談ください。
お気持ちに寄り添いながら、ベストな解決に導くためのサポートをいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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