テレワークで夫婦関係が破綻|離婚を考え始めたときのポイント
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新型コロナウイルスの感染拡大を経て、テレワークを導入する企業が急激に増加しました。それに伴い、これまで日中は顔を合わせる機会が少なかった夫婦も自宅で一緒に過ごす時間が増える傾向にあります。
テレワークには、夫婦のコミュニケーションが増えるというメリットがある反面、一緒にいることがかえってストレスになるケースもあります。テレワークにより夫婦関係が悪化してくると離婚を考える方もいるかもしれません。
今回は、テレワークで夫婦関係が悪化する3つの理由と、破綻した際の離婚の進め方について、ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスの弁護士が解説します。
1、テレワークが原因で夫婦関係が悪化する3つの理由
テレワークが原因で夫婦関係が悪化する主な理由には、以下のものが挙げられます。
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(1)一緒の時間が増えることによるストレス
テレワークにより自宅で仕事をするようになると、一人で過ごす時間が少なくなります。
これまでは自分の好きな時間に食事をしたり、掃除したりすることができたのに、仕事をしている配偶者に気を遣って生活をしなければなりません。自分の行動が制約されることでストレスを感じ、夫婦関係が悪化してしまう要因となります。 -
(2)家事や育児の偏り
夫が在宅勤務で自宅にいるにもかかわらず、これまでと同様に妻が家事や育児のほとんどを行っているようなケースでは、家事や育児の偏りを、よりストレスに感じることがあります。
夫としては、「テレワークでも仕事中だから家事や育児は手伝えない」という言い分がありますが、妻としては「自宅にいるのであれば少しは手伝ってほしい」という気持ちになりがちです。お互いの認識がすれ違うことで夫婦関係の悪化が生じてしまいます。
家事や育児の偏りを感じるのであれば、休日は、夫に子どもの面倒を見てもらうなどの方法で解決できるケースもあるでしょう。 -
(3)テレワークによる収入の減少
テレワークにより残業がなくなるなど収入が減少してしまった場合、夫婦関係が悪化するケースがあります。
お金に余裕のない生活が続くと、夫婦での言い争いが増えたり、ささいなことで夫婦喧嘩をしたりしてしまいます。「収入が少ないにもかかわらず、家事や育児を手伝ってくれない」などお金に余裕があるときには気にならなかったことも不満に感じてしまうこともあるでしょう。
2、離婚方法と進め方|協議離婚・離婚調停・離婚裁判
テレワークにより夫婦関係の悪化した場合、離婚を進めることはできるのでしょうか。離婚方法には、以下の3つが挙げられます。
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(1)協議離婚
まずは、夫婦の話し合いによって離婚の成立を目指します。このような話し合いによる離婚を「協議離婚」といいます。
協議離婚では、お互いが離婚に同意している限り、離婚の理由は問われませんので、どのような理由でも離婚が可能です。そのため、互いの合意さえ得られればテレワークによる夫婦関係の悪化という理由でも離婚をすることができます。
離婚の合意後は、離婚届に記入をし、市区町村役場の窓口で提出すれば離婚は成立です。なお離婚時に離婚条件についての取り決めをした場合には、必ず離婚協議書を作成するようにしましょう。口頭での合意では、合意内容をめぐって後日トラブルになるおそれがあります。また、慰謝料の分割払いや養育費などの支払いを請求する場合には、公正証書を作成しておくとことをおすすめします。 -
(2)離婚調停
夫婦の話し合いでは離婚の合意に至らないときは、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。調停では、裁判所の調停委員の仲介のもと、当事者が互いに譲歩しあって解決を目指します。
基本的には、協議離婚と同様に話し合いにより離婚を目指す手続きになりますが、第三者を交えて協議することで冷静に話し合い、スムーズな離婚を実現できる可能性があります。離婚調停で離婚の合意に至ったら、調停調書に合意内容がまとめられ、調停が成立します。 -
(3)離婚裁判
離婚調停でも離婚の合意に至らないときは、最終的に離婚裁判を起こす必要があります。
離婚裁判では、家庭裁判所の裁判官が夫婦の離婚を認めるかどうかを判断しますが、その際には、法定離婚事由があるかどうかがポイントとなります。
法定離婚事由とは、民法に規定のある以下の5つの事由です。- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
テレワークにより夫婦関係が悪化したという理由は、上記の法定離婚事由のいずれのも該当しませんので、この理由だけでは離婚は認められないでしょう。ただし、夫婦関係の悪化により別居するようになった場合には、別居期間がある程度の期間に達すれば、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められる可能性もあります。
3、実際に離婚を切り出す前に準備しておくべきこと
配偶者に対して離婚を切り出す前に、以下のような準備をしておくとよいでしょう。
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(1)離婚後の生活拠点の確保
離婚後は、夫婦は別々に暮らすことになりますので、自宅を出ていく方は、離婚後の生活拠点を確保する必要があります。
実家が遠方であったり、実家を頼れなかったりする場合には、アパートなどを借りて生活しなければなりません。新生活を始めるにあたっては、引っ越し費用、家具・家電の購入費用、アパートの初期費用など出費がかさみますのでまとまったお金を準備しておくことも必要です。 -
(2)今後の生計の確保
専業主婦(夫)やパートなど配偶者の収入を主として生活していた方は、離婚後は、自分の力で生計を立てる必要があります。離婚後すぐに仕事が見つかるとは限りませんので、ある程度の期間生活できるだけの生活費を確保するとともに、早めに就職先を探すようにしましょう。
なお、離婚によってひとり親家庭になる方は、国や自治体からの支援を受けられる可能性がありますので、お住いの自治体に事前に相談しておくとよいでしょう。 -
(3)お互いの財産のリストアップ
離婚時には、財産分与によって夫婦の共有財産を原則として2分の1の割合で分け合うことになります。財産分与をする際には、夫婦それぞれの名義財産をお互いに開示しあうことになりますが、相手に渡す財産を少しでも減らすために財産隠しをするケースもあります。別居をしてからでは相手の財産を把握するのが困難になりますので、同居中から相手の財産を調査し、リストアップしていくことが大切です。
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(4)子どもの親権や養育費
夫婦に子どもがいる場合には、離婚時に夫婦のどちらか一方を親権者に指定しなければなりません。また、親権者に指定された親は、監護者として子どもと一緒に生活することになりますが、子どもの生活費、教育費、医療費などを養育費として非監護親に請求することができます。
子どもの親権や養育費という問題は、離婚時の話し合いで揉める可能性のある事項のひとつですので、誰が親権者になるのか、養育費としていくら請求するのかをあらかじめ考えておくとよいでしょう。なお、養育費については、裁判所が公表している養育費算定表を利用すれば相場となる金額を簡単に把握することができます。
4、離婚を決意したときに弁護士に相談するメリット
配偶者との離婚を決意した方は、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)離婚の進め方についてアドバイスしてもらえる
離婚の方法には、主に協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があり、それぞれ異なる特徴のある手続きです。夫婦の状況に応じて選択すべき方法が異なってきますので、まずは、弁護士に相談して、適切な離婚方法をアドバイスしてもらうとよいでしょう。また、有利に交渉するためには、離婚を切り出す前に準備しておくべき事項もありますので、一緒にアドバイスを受けるとよいでしょう。
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(2)離婚の話し合いを任せることができる
離婚を決断したら、まずは、相手と離婚の話し合いをしていく必要があります。しかし、夫婦関係が悪化した状態では、まともに話し合いができないケースも珍しくありません。弁護士に交渉を依頼すれば、相手と直接連絡をとる必要がなくなり、精神的負担を軽減することができます。さらに、弁護士は、法的観点から適切な離婚条件を定めた上で交渉に臨むため、個人で対応するよりも有利な条件で離婚できる可能性が高くなります。
5、まとめ
テレワークにより自宅で一緒に過ごす時間が増えると、さまざまな原因から夫婦間で衝突が生じることがあります。お互いに話し合って解決できればよいですが、夫婦関係が悪化して修復困難な状態にまでなると離婚も視野に入れて検討していく必要があります。
離婚にあたっては、離婚を成立させるための交渉からはじまり、財産分与や親権、養育費の獲得など決めなければならない事項がたくさんあるため、実績ある弁護士のサポートが重要といえます。配偶者との離婚を決意した場合には、まずは、ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスまでお気軽にご相談ください。離婚問題の解決実績がある弁護士が、まずはお話を伺います。
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