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「妊娠詐欺」とはなにか? 恋人に疑いをもったときの対処法

2023年04月18日
  • 個人のトラブル
  • 妊娠詐欺
「妊娠詐欺」とはなにか? 恋人に疑いをもったときの対処法

近年では、マッチングアプリや婚活サービスなどを利用して、気軽に男女が出会えるようになってきました。恋人や結婚相手を探している方にとっては、出会いのハードルが下がったことはメリットといえるでしょう。一方で、よく知らない相手と交際することには、さまざまな詐欺や犯罪のターゲットにされてしまうリスクも存在します。

交際している女性から突然に「妊娠したかもしれない」などと告げられてしまうと、焦ってしまい、相手の要求どおり中絶費用などを支払ってしまう方もおられるでしょう。しかし、女性が急に妊娠を告白することには「妊娠詐欺」の可能性もあるため、きちんと事実確認をしてから行動することが大切です。

本コラムでは、妊娠詐欺とはどのようなものであるかや、妊娠詐欺の疑いをもったときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 豊橋オフィスの弁護士が解説します。

1、妊娠詐欺とは

まず、妊娠詐欺の概要について解説します。

  1. (1)妊娠詐欺とは

    「妊娠詐欺」とは、女性が男性に対して、妊娠していないにもかかわらず妊娠したと告げて、中絶費用などの金銭をだまし取ることです
    中絶詐欺や妊娠中絶詐欺と呼ばれることもあります。

    妊娠詐欺は、お金をだまし取ることを目的として行われるほか、結婚を焦っている女性が交際相手をつなぎとめておくという目的で行われる場合もあります。
    とくに、マッチングアプリやSNSで出会いったよく面識のない女性や、婚活サイトや婚活パーティーなどで出会った結婚を焦っている女性から妊娠詐欺をされてしまう男性が多いようです。

  2. (2)妊娠詐欺の手口

    妊娠詐欺の代表的な手口としては、以下のようなものが挙げられます。

    ① 虚偽の妊娠を告げて金銭を要求する
    基本的に、妊娠詐欺では、中絶費用などの名目で男性からお金をだまし取ることが目的となります。

    一部のマッチングアプリでは、出会って間もないうちにセックスすることが当たり前に行われています。
    妊娠詐欺をする女性は、自分から、「ゴムはしなくていいよ」「生でしてほしい」など、避妊具なしのセックスをすすめてきます。
    そして、性交渉からしばらくたったあとに、「生理がこない」、「妊娠検査薬で陽性反応がでた」などと連絡をしてくる、という手口です
    男性側も突然の妊娠の連絡で動揺してしまい、冷静な判断ができなくなるので、女性に言われるがまま中絶費用を支払ってしまうことになるのです。

    ② 他の男性との妊娠を利用する
    上記の手口は虚偽の妊娠ですが、実際に女性が妊娠しているケースもあります
    女性がたまたま、他の男性との間で妊娠したことを利用して、マッチングアプリなどで出会った男性に中絶費用を要求するという手口です。

    この場合には、実際に妊娠していますので、本物の診断書やエコー写真などを提示されることになります。
    したがって、女性のうそを見抜くことが非常に困難になるのです。

    ③ 夫を名乗る男性から慰謝料請求をされる
    独身だと思っていた相手から、セックスをしたあとに「実は結婚しているの」と告げられて、後日に、夫を名乗る男性から慰謝料を請求されるケースもあります。
    いわゆる、「美人局(つつもたせ)」の手口です

    単にセックスをしただけでなく、妊娠までさせたということで、中絶費用も上乗せして請求されることになるのです。

2、妊娠詐欺を疑ったときに確認すべきこと

妊娠詐欺を疑った場合には、以下のような対応を検討してください。

  1. (1)決して無視をしない

    女性から突然に妊娠を告げられると「どうせうそだろう」と考え、相手の連絡を拒絶し、無視をしてしまう方もいます。

    しかし、妊娠の有無についての事実確認ができるまでは、妊娠詐欺を疑ったとしても相手の連絡を無視してはいけません
    万が一、相手がほんとうに妊娠していたとすると、連絡を拒絶したことで中絶することができなくなり、中絶期間が過ぎてしまうこともあります。
    女性が出産をしたら、子どもの認知を拒否したとしても、調停や裁判などで強制認知を求められるリスクがあります。
    また、妊娠した女性に対して不誠実な対応をしていると、中絶に関する慰謝料の請求が認められるおそれもあります。

    このようなリスクがありますので、相手からの連絡は無視せず、誠実に対応してください。

  2. (2)妊娠したという証拠を確保する

    女性から妊娠を告げられたとしても、すぐに信じてしまうのではなく、妊娠したことの証拠を提示するように求めましょう
    妊娠検査薬での陽性反応だけでは、虚偽の妊娠である可能性があります。
    したがって、産婦人科に同行しつつ、医師の診断書やエコー写真などの証拠を求めましょう。

    これらの証拠が女性側から提出されない場合には、妊娠詐欺の疑いが強いといえます。

  3. (3)事実確認ができるまでは金銭の支払いをしない

    妊娠詐欺の対処法として重要なのが、事実確認ができるまで金銭の支払いをしないということです
    女性から妊娠を告げられると、つい焦ってしまって冷静な判断ができず、相手の要求に応じてしまう方がいます。
    また、「早く問題を解決したい」という思いから、言われるがままお金を払ってしまう方もおられるのです。

    妊娠詐欺では、加害者側も「相手をだましている」という認識があります。
    相手から「簡単にだませない相手だ」と判断されたら、これ以上の追及はしないでしょう。
    逆に、簡単に相手の要求に応じてしまうと、今後も何らかの理由を付けて金銭を要求されるおそれがあります。
    いわゆる「カモ」にならないために、毅然(きぜん)とした対応を行いましょう

3、妊娠詐欺はどんな罪に該当する? 逮捕の可能性は?

以下では、妊娠詐欺を行った加害者が問われる罪や、加害者が逮捕される可能性について解説します。

  1. (1)妊娠詐欺が該当する可能性のある犯罪

    妊娠詐欺は、以下の犯罪に該当する可能性があります。

    ① 詐欺罪
    詐欺罪とは、他人をだまして金品をだまし取る犯罪行為です(刑法246条)。
    妊娠していないにもかかわらず、妊娠したと虚偽の事実を告げて、中絶費用や慰謝料などの金銭をだまし取る行為は、詐欺罪に該当します。

    詐欺罪が成立した場合には、加害者は、10年以下の懲役に処せられます

    ② 恐喝罪
    被害者が素直に中絶費用の支払いをしない場合には、「お金を払わなければ親や勤務先にバラす」などと脅迫して、お金の支払いを要求してくることがあります。
    このようなケースでは、恐喝罪が成立する可能性があります(刑法249条)。

    恐喝罪が成立した場合には、加害者は、10年以下の懲役に処せられます
  2. (2)逮捕してもらいたいと考えたときは警察へ

    妊娠詐欺は、その内容によって詐欺罪や恐喝罪といった刑法上の犯罪が成立する可能性があります。
    そのため、「加害者を逮捕してもらいたい」「処罰を受けてもらいたい」という場合には、警察に相談し、被害届や告訴状を提出するようにしましょう
    ただし、証拠がなければ、警察は被害届や告訴状を受理してくれません。
    詐欺被害者が警察に相談する際には、女性とのメール、LINEなどのやりとり、妊娠の証拠として提示された画像、診断書、女性にお金を振り込んだ履歴などの証拠を持参するようにしましょう。

    また、警察は、あくまで犯罪行為の立件に向けて捜査を行う機関です。
    詐欺にだまされたお金を取り戻すことは、警察の仕事ではありません
    だまされたお金を取り戻す場合には、民事事件として対応する必要がありますので弁護士にご相談ください。

4、誰にも知られずに妊娠詐欺のことを解決する方法

誰にも知られずに妊娠詐欺を解決したいという場合には、以下の方法を検討してください。

  1. (1)相手との示談交渉

    示談交渉とは、当事者同士の話し合いによってトラブルを解決する方法です

    示談交渉は当事者同士で行う手続きであるため、第三者に妊娠詐欺のトラブルを知られることなく解決できる可能性があります。
    妊娠詐欺の事案では、女性が男性をだましてお金を支払わせようとしていますので、示談交渉においては、まずは、女性側に妊娠の証拠を提示するように求めましょう。
    女性側から妊娠に関する客観的な証拠が提示されない場合には、妊娠詐欺と判断できるため、金銭の支払いをせずに問題の解決を図りましょう。

  2. (2)弁護士に相談することで穏便な解決が可能

    詐欺師は、あらゆる手段を使って被害者をだまそうとします。
    そのため、被害者だけで示談交渉を対応することには、二次被害や三次被害を生じさせる危険性が損じます。
    したがって、妊娠詐欺の疑いのある相手と示談交渉をする際には、弁護士に相談することをおすすめします

    弁護士であれば、弁護士会照会などの調査方法を使って、素性のわからない相手の本名や住所などを明らかにすることができます。
    また、女性が妊娠の証拠として提示した診断書などが本物であるかどうかも、弁護士が病院などに照会をかけることで明らかにできる可能性があります

    さらに、妊娠詐欺の加害者は、「詐欺罪に該当する犯罪をしている」という認識があります。そのため、弁護士が窓口になって対応することで、加害者が「逮捕を免れたい」という思いから被害者への金銭要求を取り下げるなどして、穏便に解決できる可能性があるのです。

5、まとめ

マッチングアプリやSNSなどで出会った相手と気軽にセックスする男性は、妊娠詐欺の被害にあう可能性があります。
素性のわからない相手とは安易に肉体関係を持たない、肉体関係を持つ場合には避妊するなど、自分の身を守ることを意識しましょう。

また、女性から妊娠を告げられたとしても、事実確認ができるまでは金銭の支払いを行わないということも大切です。
突然のことで焦ってしまわず、できる限り冷静に対処するようにしましょう。
妊娠詐欺の疑いが生じた場合には、ひとりで対応することにはリスクがあります。
穏便に解決するため、弁護士に依頼しましょう。

「詐欺の被害にあっているのではないか」と不安に感じられている方や、急に妊娠を告げられてしまって困っている男性は、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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